« 2008年6月 | メイン | 2008年8月 »

2008年7月

2008年7月28日 (月)

「キジハタ」

キジハタ

 鮮やかな橙色の斑点が特徴的な「キジハタ」は、福井では「ナメラ」や「アコウ」などと呼ばれるハタ科の魚です。 総じて味の良いハタ科の中でも「キジハタ」の食味は格別で、市場では高値で流通しています。

 この魚は性転換する魚で、生まれた時には両方の生殖器を持っています。 始めはメスとして成長する事が多いのですが、大きくなるとオスに転換していきます。 しかし、縄張りに強いオスがいるとオスに転換はせず、メスしかいなければオスに転換し、産卵活動をするといわれています。

 このように子孫繁栄に対して柔軟な対応ができるのですが、年々生息数は減少しています。 しかし、美味で知られるキジハタは人気があり、各地で養殖技術の研究が盛んに行われています。

 旬は夏。 主に刺網・釣り・定置網漁で漁獲されます。 白身で歯ごたえがあり刺身に適しています。 お勧めは薄造り。 ポン酢にネギと紅葉おろしを入れて包むようにして食べるのが最高!

 残ったアラやカマの部分は塩焼きにして! また鍋も絶品なので、暑い夏はチリ鍋にしていかがですか。
(鮮魚部・刺身物チーム・山下)

2008年7月22日 (火)

「芭蕉梶木(ばしょうかじき)」

芭蕉梶木(ばしょうかじき)

一般的に「かじき」は、外洋に生息する魚ですが、「ばしょうかじき」は、かじき類の中で最も沿岸性が強く、初夏から秋にかけて、福井近海の定置網で漁獲されます。

もともと、「かじき」という名前は、上顎の剣(吻:ふん)で、船底の「加敷(梶木)」をも突き通すことからつけられたようです。 「ばしょうかじき」は、体高よりも大きな背びれを持っているのが特徴で、この背びれが、「芭蕉の葉」に似ていることから、「芭蕉梶木(ばしょうかじき)」と名づけられました。 

「ばしょうかじき」は、数匹で組んで獲物の魚群を追いかけ、その魚群の前に立ちはだかってこの発達した背びれを広げ、威嚇して、魚群を混乱させます。 そのすきに、かじき特有のとがった吻で魚をたたき、捕食します。

泳ぐスピードは海洋生物の中で最も速く、時速120kmにもなり、大きな背びれは、急停止するときのブレーキとしても役立つようです。

「ばしょうかじき」の身は桃色で、味わいは深く、口に広がる旨味は上品です。 頭部や尾びれに近い部分は、ややスジが多いのですが、フライやムニエルにすると大変美味しくいただけます。

(鮮魚部・刺身物チーム・桑原)

旬の魚を使って料理を作ろう♪レシピサイト「今月のおうちごはん」へ

2008年7月14日 (月)

「しいら」

しいら

「しいら」は、日本沿岸の暖流の影響を受ける海域で、夏から秋にかけて普通に見られる魚です。 福井では定置網漁で、7月から少しづつ見え始め、8月のお盆を過ぎると減少します。

普段は海面から20mくらいの表層を泳いでおり、主に、イワシ類、トビウオ類などの魚を食べます。 ルアーフィッシングの対象としても大変人気のある魚で、大きいものでは、体長が2mにまで成長します。

また「しいら」は、体が平べったいのが大きな特徴で、成魚は、背が鮮やかな青色、腹部は黄色味を帯びた銀白色で、大変きれいです。 雄は、成長するにつれて額が前方に張り出してきて、雌と容易に区別できるようになります。

「しいら」は、さっぱりとした白身の魚で、刺身はもちろんのこと、塩焼きや照り焼き、フライやムニエル、干物や漬け魚など、どうやって食べても美味しい魚です。 地方によっては、糠漬けにするところもあります。 ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれて、大変人気のある魚です。
(鮮魚部・近海物チーム・谷口)

旬の魚を使って料理を作ろう♪レシピサイト「今月のおうちごはん」へ

2008年7月 7日 (月)

「さざえ」

さざえ

私たちがよく見る「さざえ」は「巻貝」の一種で、正式には軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目サザエ科に属する貝です。 漢字では「栄螺」または「拳螺」と書きます。
英語では「horned turban」と呼ばれています。 hornedは形容詞「角のある」、turbanは名詞「小帽子」、合わせると「角のある小帽子」となり、「さざえ」の形を表しています。
「さざえ」という名は「ささ」が小さい、「え」が家で、「小さい家」を意味するということに由来しているという説もあります。

「さざえ」と言えば、トゲトゲした角を持った個体が思い浮かびますが、この角がある「さざえ」は、外海に面した波の荒い磯で育ったものに多く見られます。 一方、角を持たない「さざえ」も存在しますが、この「角なし」は内海の穏やかな海域に多く見られます。

市場に出ている「さざえ」には「大」や「中」といったサイズのものの他に「姫」というサイズのものがあります。 これは言葉から連想すると、メスの「さざえ」かと思われてしまいますが、実は若くて小振りのものを指しています。

「さざえ」にはタンパク質が多く含まれています。 そのため、身はコリコリとしたものとなっています。 さらに、エネルギーの代謝に関係していて不足すると疲労がたまりやすくなるビタミンB1、皮膚や髪、爪などの再生を促し成長を活発にしてくれるビタミンB2、貧血に効果がある鉄分も多く含まれています。

「さざえ」といえば「壷焼き(つぼやき)」が有名で、美味ですが、身を取り出して甘辛く煮付けてもおいしいです。 これからどんどん暑くなって心も体もだるく感じることもあるかと思いますが、ほろ苦い旨味と磯の香りがするおいしい「さざえ」を食べて、心も体もリフレッシュしてみてはどうでしょうか。
(鮮魚部・数馬)

旬の魚を使って料理を作ろう♪レシピサイト「今月のおうちごはん」へ