「芭蕉梶木(ばしょうかじき)」
一般的に「かじき」は、外洋に生息する魚ですが、「ばしょうかじき」は、かじき類の中で最も沿岸性が強く、初夏から秋にかけて、福井近海の定置網で漁獲されます。
もともと、「かじき」という名前は、上顎の剣(吻:ふん)で、船底の「加敷(梶木)」をも突き通すことからつけられたようです。 「ばしょうかじき」は、体高よりも大きな背びれを持っているのが特徴で、この背びれが、「芭蕉の葉」に似ていることから、「芭蕉梶木(ばしょうかじき)」と名づけられました。
「ばしょうかじき」は、数匹で組んで獲物の魚群を追いかけ、その魚群の前に立ちはだかってこの発達した背びれを広げ、威嚇して、魚群を混乱させます。 そのすきに、かじき特有のとがった吻で魚をたたき、捕食します。
泳ぐスピードは海洋生物の中で最も速く、時速120kmにもなり、大きな背びれは、急停止するときのブレーキとしても役立つようです。
「ばしょうかじき」の身は桃色で、味わいは深く、口に広がる旨味は上品です。 頭部や尾びれに近い部分は、ややスジが多いのですが、フライやムニエルにすると大変美味しくいただけます。
(鮮魚部・刺身物チーム・桑原)
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