「若狭ぐじ」(アカアマダイ)
「越前がに」「若狭ふぐ」と同様に、福井県を代表する海産物である「若狭ぐじ」。正式名称は「アカアマダイ」といいます。名前に「タイ」と付きますが、タイ科とは別のアマダイ科に属しています。
アマダイは体色によって、アカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイの3種類に分けられます。 県内で漁獲されるアマダイは、そのほとんどがアカアマダイです。しかし、その全てが「若狭ぐじ」と名乗ることが出来る訳ではありません。
釣りや延縄(はえなわ)漁で漁獲されたもので、鮮度がよく、姿形が美しく、300g以上の中~大型サイズを福井漁連独自の鮮度管理マニュアルによって徹底管理されたもののみが「若狭ぐじ」と名乗ることができるのです。 こうして厳選された「若狭ぐじ」は魚体を傷つけないよう慎重に取り扱われ、一尾ずつ港の名前と捕獲した船の名前が入った専用ラベルが貼られます。 ちなみに、京都の丹後半島・若狭湾で釣り上げられたものは「京前ぐじ」と呼ばれています。
元々、「若狭ぐじ」とは小浜・若狭地区で漁獲されたアマダイ全てのことを指していました。 小浜では8月の1ヵ月の間だけ刺し網によりアマダイ漁を行います。 結果として、その漁獲量の少なさと美味しさから希少価値を見出していました。 これが本来の「若狭ぐじ」と言う人もいるくらいです。
アマダイは、上品な白身で、江戸時代以前から高級料理の素材として食されてきました。他の魚と比べると脂肪分は少なめですが、味に淡白な甘味があります。 水分が多く身崩れしやすい為お刺身には不向きですが、塩で身を締めたものは、蒸し物・揚げ物・椀物に適しています。 西京漬けや粕漬けにしても非常においしくいただけます。
代表的な食べ方である「若狭焼き」は、一塩した若狭ぐじを鱗を付けたままじっくり焼き上げたもので、京料理では「若狭焼き」の善し悪しが板前の腕前の目安にされるほど、伝統のある料理方法になります。
アマダイには、蛋白質・ビタミン・ミネラルが多く含まれています。 脂肪分が少なく、肉質が柔らかいため、病院食・離乳食にも最適です。
若干高価なものになりますが、機会があったら是非一度ご賞味ください。
(鮮魚部・大門)
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